Revopoint MINI 2 3Dスキャナーは、0.02mmの高精度スキャンが可能な小型スキャナーです。持ち運びに便利なコンパクトなデザインと使いやすいソフトウェアを備えながら、3Dスキャナーの中でも安価な部類に入る3Dスキャナーです。

3Dスキャナー初心者 いつもの匠 です。
3Dスキャナーと3Dプリンタと組み合わせて、3Dコピーを実現したいと常々考えていました。
この記事では、REVOPOINT社から提供いただいた「REVOPOINT MINI 2」でどこまで精密にスキャンできるのか、素人目線で筆者が詳しく検証しました。この記事を読めば、REVOPOINT MINI 2の特性はもちろん、初心者でも3Dスキャナーの価値を理解できます。


高精度な小型3Dスキャナー「Revopoint MINI 2」
主な特徴
小物をキャプチャーできる高精度な3Dスキャナー「Revopoint MINI 2」の主な特徴は以下です。
- 高精度: 0.02mmの解像度で、細部まで正確にスキャンできる
- ポータブル: 軽量で持ち運びしやすいデザイン。
- 多様な対応: 小型から中型の物体まで、幅広い対象に対応している
- 使いやすいソフトウェア: インターフェースが直感的で、編集も容易できる
- ブルーライト技術: 非接触のスキャンで安全かつ精密な結果を提供できる



小型なものに特化していて、最小で縦1m×横1cm×高さ1cmのものまでスキャンできるよ。
詳しいスペックは、公式サイト もしくは 以下のツイートから確認すると良いでしょう。
なお、中型廉価モデル「REVOPOINT INSPIRE」についてのレビューは、以下の記事を参照してください。



REVOPOINT INSPIREも安価な割に優秀だったよ!
注意:REVOPOINT 2軸ターンテーブルは付属しない
公式サイトでは人気商品として紹介されている「2軸ターンテーブル」。


REVOPOINT MINI 2には、この2軸ターンテーブルではなく、1軸ターンテーブルしか同梱されていませんので、注意しましょう。



いろいろ試した結果、2軸ターンテーブルが欲しくなる気持ちは分かる…手を出してしまいそうだ…
必ずしも必要ではありませんので、利用頻度に応じて購入を検討しましょう。
REVOPOINT MINI 2 レビュー
R3Dスキャナー初心者の筆者は、このEVOPOINT MINI 2と3Dプリンタを活用して、文字通り「物理コピー」を実現したいと考えています。


そこで今回の検証では、REVOPOINT MINI 2が物理コピーできる3Dスキャナーなのか という観点でレビューを重ねました。
- レビュー1. 彫刻のレプリカ
- レビュー2. ペットボトルのふた(シンプル)
- レビュー3. ペットボトルのふた(特別)
- レビュー4. ドライバービット
- レビュー5. SDカード(黒)
- レビュー6. ポケモンの人形
- レビュー7. Apple Mouse(アップルマウス)
- レビュー8. 左手キーボード(9キー)
レビュー1. 彫刻のレプリカ
3Dスキャナーではサンプルが付属してくるのが一般的らしいです。今回のREVOPOINT MINI 2でも、彫刻レプリカが付属していましたので、こちらから試しました。


色 | 白一色 |
---|---|
光沢 | なし |
その他 | ー |
REVOPOINT MINI 2はスキャン中にライトが発光できるため、暗い場所でも3Dスキャンができます。このような環境で3Dスキャンした結果が以下です。


完璧に3Dスキャンできました。しかし、製品付属のサンプルですから、成功して当たり前です。そこでこの3Dスキャンしたデータを3Dプリンタで出力して、文字通り「物理コピー」しました。


このように、かなり高い精度で物理コピーに成功しました。3Dスキャン後は、ほとんど修正無しで出力できました。



「3Dスキャンした結果をどうしたいか」が重要だよね。
だから、3Dスキャナー+3Dプリンタ = 物理コピー は超強力だよ!
とはいえ、ここまではまだウォーミングアップ。ここからが本番です。
レビュー2. ペットボトルのふた(シンプル)
まずはオーソドックな形状かつ白い物体として、よくある「ペットボトルのフタ」で試しました。


色 | 白 |
---|---|
光沢 | なし |
その他 | 形:凹凸があるが単調 他:黒線をマジックで追記 |
REVOPOINT MINI 2で、こちらを3Dスキャンした結果がこちらです。


完全に3Dスキャン成功できました。ただし、天面の黒い線は穴になっていたので、穴埋めした結果です。



周りの凹凸は無視して円柱としてスキャンした感じかな。
ちなみに3Dスキャンソフト「Revo Scan 5」では、スキャン後に簡単に穴埋めできます。


そのため、少し穴が空いた3Dスキャン結果でも問題はありません。詳しい使い方は、こちらでレビューしています。
レビュー3. ペットボトルのふた(特別)
カラーでの3Dスキャンについても、よくある「ペットボトルのフタ」で試しました。ただし、こちらは某おまけで付いてきた特殊なフタです。


色 | 水色 |
---|---|
光沢 | なし |
その他 | 凹凸があるが単調な形状 |
明るい色ではあるものの、白色でないものがどのようにスキャンできるか気になるところです。この物体をREVOPOINT MINI 2で3Dスキャンした結果が以下です。


ほぼ完全に3Dカラースキャンに成功したと言って、差し支えないでしょう。



天面の絵までスキャンできたので驚いたよ!
これくらいの精度で取り込めるなら、3Dグラフィックスや3D CADに生かしやすいですよね。
レビュー4. ドライバービット
一般的な3Dスキャナーが苦手な「光沢のある」「小さいもの」として、「ドライバービット」のスキャンを試してみました。ドライバービットとは、交換式ドライバーの先のことです。


色 | くすんだ金色 |
---|---|
光沢 | あり |
その他 | 1cm角ギリギリの小ささ |
REVOPOINT MINI 2で、こちらを3Dスキャンした結果がこちらです。


ドライバービットはまったくスキャンできなかった!という結果となりました。



分かってはいたけど、厳しい結果だよね。
まだこの時点ではREVOPOINT MINI 2とて、3Dスキャナーの苦手を克服していはないと理解してください。ただ、後述する方法を使えば、光沢のある物体も3Dスキャンできますのでご安心を。
レビュー5. SDカード(黒)
3Dスキャナーが一般的に苦手とする「黒い」「小さいもの」として、「SDカード」の3Dスキャンにも挑戦してみました。


色 | 黒 |
---|---|
光沢 | なし |
その他 | 薄くて小さい |
REVOPOINT MINI 2では、こちらを3Dスキャンしてみました。しかし、黒いSDカードもまったくスキャンできなかった!という結果となりました。スキャン結果のスクショを載せるまでもないくらい惨敗。



手を替え品を替え、何度もトライしたんだけどね…
Revo Scan 5の設定には、黒い物体をスキャンする設定はあります。


筆者が試した限りでは、こちらを上手く機能させて、黒い物体のスキャンに成功する結果はえられませんでした…
しかし、こういった黒い物体も、後述する方法で上手くスキャンできますので、ご安心ください!
レビュー6. ポケモンの人形
カラーでの3Dスキャンについて、もっと複雑な形状も試しました。みんな大好き「ポケモンの人形」です。ピカチュウとキャタピーという、人気の組み合わせ。


色 | 黄、緑 ほか |
---|---|
光沢 | なし |
その他 | 形状は複雑 |
REVOPOINT MINI 2で、こちらを3Dスキャンした結果がこちらです。


こちらも3Dカラースキャンに成功したと言って、差し支えないでしょう。もちろん目が黒くて穴になって修正が必要だったり、表面の模様が淡かったり、と指摘すればきりがありません。しかし、穴埋めなどすれば、形状は十分使えるデータになっています。



付属のターンテーブルで回しただけで、キレイにスキャンできたよ。表情はちょっと惜しい感じだけどね💦
少し複雑な形状かどうかは関係なく、明るい色+マットな表面=3Dスキャンは成功しやすいという傾向が分かってきました。むしろ複雑な形状の方が、陰影が付いてスキャンしやすい印象さえありました。



3Dスキャン対象と3Dスキャナー、両方の特性を詳しく把握しておくと、3Dスキャンに成功しやすいよ!
レビュー7. Apple Mouse(アップルマウス)
白いけど光沢があり、複雑な形状を試しました。今回は実用的で、Apple Mouse(アップルマウス)です。筆者は外出時に愛用しており、できれば外出用ケースを作りたいと考えていたところでした。


色 | 白+銀 |
---|---|
光沢 | あり |
その他 | 上面は白でアーチ状 下面は銀でアーチ状 |
まずそのまま3Dスキャンしようとしましたが、まったく上手くスキャンできませんでした。光沢>白という力関係があり、スキャンできない物体として判定されてしまいました。


そこで付属のシールを貼り付け、白部分と銀色部分を分けて3Dスキャンすることにしました。以下の動画のような試行錯誤をしました。
もちろん、下パーツ部分についても同じように3Dスキャンしました。


3Dスキャナーが苦手な物体に対して、試行錯誤した様子を感じて貰えれば幸いです。その3Dスキャン結果がこちらです。


形状は3Dスキャン成功です。ちゃんとシールが特徴として機能し、光沢があっても3Dスキャンできました。シール>光沢という力関係になりました。



3Dスキャン用シールは1枚を何回か使えそうだし、けっこう量もあるので、もっと使いまくっても良いと思ったよ。
ただし、カラー3Dスキャンとしてはイマイチ。シールが穴と認識されるため、上パーツには穴がボコボコ空いていました。これは補修する手間が発生します。一方、下パーツはシールがそのままスキンとして取り込まれました。



ついでにRevo Scan 5上で合成したかったけど、上手くいかなかった…
ここまで来れば合成すれば十分に実用できるわけで、STL/OBJ形式でエクスポートすれば自由自在です。ただし、Revo Scan 5上での合成はちょっと無理がありますので、3D CADに取り込んでの作業になります。
この結果から、スマートフォンのオリジナルケースくらいは簡単に作れると確信しました。
レビュー8. 左手キーボード(9キー)



黒いデバイスやキートップを、俺はどうしても物理コピーしたいんだ!
そんなワガママな願いを叶えるべく、今回は筆者が保有する左手デバイス「Vaydeer プログラマブルキーボード 9キー」を3Dスキャンしました。


REVOPOINT MINI 2のライトで照らしても、スキャンの苦労が分かるくらいには黒いデバイスです。
色 | 黒 |
---|---|
光沢 | 少しあり |
その他 | 小型だが、複雑な形状 |
そのまま3Dスキャンしようとしても、まったくRevo Scanには表示されません。そこで3Dスキャン専用スプレーを使用して、スキャンを試みました。


このスプレーを吹きかけて、スキャンする前の形状がこちら





真っ白になるけど、これでホントに大丈夫なのかな!?
心配になりますが、とりあえず3Dスキャンをしてみた結果がこちら。





ほぼ完璧!大成功!
少し穴も空いていたので補正して、3D CADで整え、3Dプリンタで出力した結果がこちらです。





ほぼ完璧に物理コピーに成功!
もちろん、実用を考えると調整は必要ですが、この精度であれば十分使えますね。ちなみに、キートップだけ物理コピーしてみましたが、かなり短時間でコピーできました。





3Dスキャン→3D CADで補正 → 3Dプリンタで出力という感じで、サクッと実現できたよ!
ただし、3Dスキャンは成功したものの、スプレーを吹きかけたデバイスが真っ白なままで心配でした。しかし、4時間経過後はこちら。


白かった成分は揮発して、ほぼ元通りになっていました。少し残った成分は、ドライヤーで吹き飛ばし、少しキムワイプで拭けば完全に元通りになりました。



あまり複雑な形状のものにはスプレーは向かないかも。
このレビューの結果から、専用シールやスキャニングスプレーを活用すれば、REVOPOINT MINI 2なら苦手な物体でも3Dスキャンできると分かりました。
3Dスキャナー「Revopoint MINI 2」の使い方とコツ
筆者がレビューしてみた範囲では、以下の特性が分かりました。
スキャン対象の得意・不得意
3Dスキャナー全般に共通する得意・不得意が、そのまま REVOPOINT MINI 2にも当てはまります。加えて、REVOPOINT MINI 2が精細な小物に特化しているが故に、得意・不得意もあります。


- 白くて小さい物体
- 適度に陰影がある物体(=凸凹のある物体)
- マットなカラーの物体
- 陰影がない物体(単調な物体)
- 光沢のある物体 ※
- 黒い物体 ※
- 透明の物体 ※
- 反射する物体 ※
- 大きい物体
- 薄い物体(カードなど)
苦手な物体のうち、※のスキャン対象は専用シールやスキャニングスプレーを活用すれば、スキャン可能になります。
単調な物体より少し複雑な物体
3Dスキャナーは、スキャン対象の凹凸で生まれる陰影が分かりやすい方がスキャン成功しやすいみたいです。そのため、単調な物体より、凹凸がある複雑な物体の方が成功しやすいです。


これは3Dスキャンの仕組み上、物体に光を当てて陰影をヒントに取り込むものだから、と理解すると分かりやすいです。



そんなにシンプルではないけど、傾向を覚えておくと成功しやすいよ
スキャニングスプレーや専用シールは、こういった陰影を強制的に与えるものだと考えるとよいですね。
スキャナー固定でスキャン対象を動かす
3Dスキャンをする際、筆者はスキャナーを固定して、対象物を動かした方が安定してスキャンしやすいと感じました。


これは3Dスキャンの経験値の問題も有るはずですが、手持ちで手ブレが発生する状態だと、安定して3Dスキャンしにくかったです。そのため、標準で付属している3脚は必要不可欠と感じました。


ただ、REVOPOINT MINI 2公式サイトでは以下のような手持ちでスキャンしている画像もあります。


バッテリー内蔵ではないので、電源をどこから確保するのかという課題があります。また、スキャンしている状態を見ながらスキャンする必要があるため、PCを横に置きながらスキャンするか、スマホに接続してスキャンする方が良さそうです。





REVOPOINT MINI 2は、小さい物体のスキャンで活躍する製品だから、手持ちが合わないかな…
もっと大きな対象物をスキャンできるREVOPOINT INSPIREなどは、手持ちスタイルが活躍しますが…モバイルバッテリーキットが別売りという理由はそういうところかもですね。
Revopoint MINI 2は「小物作り」にこそ価値がある
3Dスキャナーの活用目的は様々ですが、Revopoint MINI 2は小型な物体を扱いたい人に適した3Dスキャナーです。筆者が今回検証した結果を踏まえた活用例は以下です。


- 工業デザイン
- 小さな部品や精密さが必要な製品をデザインする工業デザイナーに適しています。低価格で扱いやすいREVOPOINT MINI 2は、少ない学習コストで高精細なスキャンができるからです。
例: モーターギア、電子基板 など。
- ジュエリーデザイン
- カスタムメイドのアクセサリーを精密にスキャンして、製作の幅を広げたいジュエリーデザイナーにも向いています。細やかな装飾が多いアクセサリーをスキャンして、3Dデザインソフトで簡単に扱えます。
例:指輪、イヤリング など。
- DIY(ホビーユーザー)
- 家庭でのものづくりやに際して、対象物をスキャンした後に加工して、3Dプリンタで出力したいホビーユーザーにも向いています。
例:スマートフォンケース、リモコンのフタの複製、キーボードのキートップ など
上記のユースケースに合うのであれば、格安な3Dスキャナーです。詳しいスペックが気になったら、以下から公式サイトをチェックしてください。

